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ブレーキを強化する(その4)第1部完

前回の記事で発生した問題の解決編です。
まだ読んでない方はこちらです。


ブレーキパッド選定

ブレンボキャリパー化したことにより、ブレーキパッドの適合表がとても見やすくなりました。
適合表からトライアンフのページ探して、掲載されてなければ共通のキャリパーを使う別車種を探して……といった面倒なことをせずに、ブレンボのページを開けばいきなり解決ですからね。(大抵のメーカーの適合表で、ブレンボは車両メーカーとは別に適合表が設けられています。)

今回のブレーキパッド選びでフォーカスしたのは制動力です。
色々悩みはしたものの、制動力が高く、実際に純正キャリパーで使用したこともあるZCOOのセラミックシンタードパッドを使用することにしました。
純正キャリパーで使ったこともあるので、キャリパー違いでの性能差をより実感できそうでもありましたから。
あと、これで握りしろが深く止まらなかったらマスターシリンダーの容量不足ということで結論付けられます。
ちなみにブレンボキャリパー化によって競技用のタイプCも選べるようになりました。


着弾、そして取り付け

新年早々アマゾンに発注したジクーパッドが届きました。
早速取り付けていきましょう。
クイックリリースパッドピンのおかげで、車体に取り付けたままでもパッドの取り外しができます。

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ここで新たな問題です。
純正ディスクにはブレンボP4キャリパーの当たり面が大きすぎるようで、バイク屋さんでの取り付け時にパッドの不要な部分を削ってもらっていたようです。
新しいパッドをそのまま取り付けると、そのうち左右のパッドのディスクに当たっていない領域が”こんにちは”してしまい、ブレーキが効かなくなってしまいます。
ですからパッドの不要な部分を削らなければなりません。

最初ヤスリでやってましたが、時間がいくらあっても足りないので、グラインダーを探してきました。
初使用で慣れなかったためちょっと削りすぎちゃったりした部分もありますが、まぁ大丈夫でしょう。
削ったとはいえちょっと心配なので、定期的に確認するようにします。
あとで気がついたのですが、お手本を見ながら削るより、削る前にちょこっと使って当たり面をわかるようにしてから削った方が、より精度の高い工作ができたかもしれませんね。

次に取り付けですが、これはちょっと大変でした。
ディスクとピストンの間に棒を突っ込んでピストンを押し戻してから裏面をグリスアップしたパッドを入れていきます。
が、パッドはすんなりとは入らず、数分ほどガチャガチャやってようやく入りました。
ブレンボ純正パッドより若干厚みがあるので、それで入れづらかったのかもしれません。
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パッドスプリングとパッドピンを挿入し、ブレーキを数回握ったのちに車体を押し引きして引き摺りを確認します。
問題なかったのでこれで完成です。
では試走してみましょう。


めっちゃ止まる(街乗り)

レバー位置を1番遠い位置のままにしていたのですが、この状態でブレーキをかけると、指にレバーが馴染む前にバチクソ制動力が立ち上がります。
一段近くしてみると、厚手の冬グローブにはちょうどいい感じです。
慣らしとして近所を回ってみますが、この時点で純正キャリパーの時とは大きな違いを感じます。
まず、機械式ブレーキスイッチのカチッとした音が出るくらいの領域で、すでにしっかりと制動力が立ち上がります。
そこからフロントフォークの沈み込みを感じながら握り込んでいくと、ブレンボ純正パッドとは違い、二次曲線的に制動力が立ち上がってきます。
純正キャリパーの時とは違い、レバーの引き始めからすでにブレーキコントロールが始まっているようで、弱い制動力の領域がはっきりしています。
ですから、レバーを離すとブレーキディスクがパッドから解放されたのがはっきり分かりますね。
ブレンボキャリパーはパッド離れが良いというのはこのことなのかもなと。
もちろん、以前のようにかっくんブレーキになることも減りました。
ちゃんと操作すれば…ですが。

肝心な制動力の方は、もう満点です。
レバータッチは純正キャリパーの時より柔らかいですが、そこまで握りこまなくてフロントがロックしそうな感触があります。
指一本で握りゴケとか十分あり得るくらいですね。
しかし街乗りでこれなんですから山へ行ったらどうなってしまうのでしょう。


めっちゃ止まる(ワインディング)

取り付け後2回ほどツーリングへ行き、冬ですけどワインディングでの感触を確かめてきました。
結論から言うと、めっちゃ止まるから慣れが必要…です。

まずコーナー進入時のブレーキコントロールですが、軽い力でレバーを引いても思いっきり制動力が立ち上がるので、今までの感覚でレバーを握ると想像よりも減速しすぎてしまいます。
フロントを引き摺ってターンインすると、今までのブレーキシステムにあった、効いているんだかいないんだかハッキリしない領域が使えないため、これまた減速しすぎます。
曖昧な領域を使わずにもっとメリハリつけて乗れって感じですね。
最近のスポーツバイクの感覚にかなり近いです。

そしてブレーキパッドの温度依存性も感じます。
街乗りレベルでも今までにないくらい上等な効きでした。
しかし、暖まるとさらに上を行く効きです。
全然フルブレーキングと言うほどのブレーキングをしたつもりがなくても、フロントフォークがこれまでにないくらい沈みます。
休憩時に確認してみると、フルストロークまではまだ余裕がありましたからバネレートは問題ないとして、もうちょっとジワっと沈めたいので減衰調整が必要ですね。(暖かくなったらやります)
純正キャリパーを使っていた時に、これ以上握ったらリアが浮いたりフロントロックするんだろうな、となんとなく思っていた領域が、急にはっきりして身近になったようです。
純正キャリパーにジクーパッドを取り付けていた時にも思いましたが、フロントフォークを強化していないと少々危険かもしれません。

休憩後の走り始めに弱く長いブレーキングをしてみると、レバーの入力が一定でもジワジワと制動力が上がっていきます。
これは街乗り時にも感じていたことですが、冷めたり暖まったりを繰り返すようなの乗り方だとブレーキング中の制動力の変化が読みづらいです。
例えば冷えてる状態で急ブレーキを行なったとして、減速中に暖まって想定以上に制動力が立ち上がってフロントロック、なんてことがあるかもしれません。
しかしキャリパー変更によりこの辺りのコントロール性は増しているので、車両の状態をしっかりと感じられていれば回避できますし、それほど心配するようなことでもないでしょう。

正直、ここまで強力になるとは思っていませんでした。
シングルディスクであることが全く気になりませんし、むしろスポークホイールにはシングルディスクの方がカッケーじゃん?って気持ちしかありません。
対フェード性能はどうなの?という疑問もありますが、これはそのうちサーキットでも行けば何かわかるかもしれませんね。
それと、前回の記事に少し書いた空冷スラクストンに求める理想の制動力としての評価ですが、これは満点です
少し慣れが必要ですが、使いこなせばより楽しく安全になりそうです。
マスターシリンダーもまだノーマルですから、この状態で変えたらどうなるのか想像できませんし、今後も楽しみですね。


それよりも

チラッと見える金キャリパーがカッコよくて大満足です
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おまけ : ブレンボ純正パッド

オーガニック系であることは承知していましたが、思ったよりダメダメだったP4キャスティングキャリパー付属のブレンボ純正パッド。
なぜあのように効きが甘かったのでしょうか?

パッドを交換してから気がついたのですが、パッドの裏面にAMECA評価の印字がありました。
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摩擦係数でのランク付けで、最高ランクはHHです。
詳しくはべスラの公式サイトの解説を読むとわかりやすいかもしれません。
で、これはFF。
これではHH評価のべスラのオーガニックパッドよりも止まらないのは明らかですし、シンタードパッドと比べるのは酷でしょう。
ちなみにジクーのような純正採用されていない社外品パッドはこの評価を取得していない場合がほとんどです。

おそらくですが、このパッドはダブルディスクの車両への装着を想定されているのではないでしょうか?
レビューを見ても僕のように酷評している人間はほとんど見ません。
車重230キロ程度でシングルディスクの車両なんてあんまりありませんからね。
同じようなシングルディスク構成のハーレーのスポーツスターなんかにこのキャリパーを取り付けるカスタムがありますが、この純正パッドでは強化にならないかもしれません。

また、以前に紹介したFree Spiritsのブレーキキットでは、この純正パッドを使用して制動力の向上を謳っています。
あれはオーバーサイズディスクとセットで販売されていますから、そのディスクと純正のパッドの相性が良ければ制動力の向上はあり得ます。
また、ディスクのパッドの当たり面が純正より幅広ならば、今回のようにパッドを削る必要もなく、広い当たり面による性能を最大限発揮できていたでしょう。
実際に以前このキットを装着した車両に乗せていただいたことがありますが、その時は普通に効くといった印象でした。
ブレーキマスターも変更されていましたし、単純比較はできないですが、少なくとも試乗レベルでは不足は感じませんでしたね。

ちなみにレーシングキャリパーでは、キャスティングキャリパーでは別売りオプション扱いになっているブレンボ純正のシンタードパッドが付属しています。
画像を調べてみたところ、裏面に特にAMECA評価の印字はなかったので、どこかのメーカーの車両に純正装着されていたりはしないようです。


おまけ : ブレーキシステム重量

今回のカスタムでバネ下重量が変わりました。
バネ下重量の変化はバネ上のそれよりも運動性能への影響が大きいそうです。
今回取り付けた、パッド組み込み済みキャリパー、キャリパーサポート、ディスクスペーサーの3点で、約1120gです。
で、取り外した部品は約1033gでした。
計測していないキャリパー固定ボルトも入れると、100gちょい程度重くなったようですね。

また、キャリパー単体の重量ですが、公式の重量表記とは多少異なります。
メモを取っていなかったので具体的な数値は分からなくなってしまいましたが、結構個体差があるようです。

重くなることを気にされる方はレーシングキャリパーをどうぞ。
アルミピストンモデルでも公称値で100g違いますから、プラマイ0近辺に持ち込めるでしょう。


ひと段落

ブレーキ強化のお話はこれでひと段落です。
次はマスター変更かディスク変更でしょうかね。
もうこれで大満足なんですが、盆栽の道に終わりはありませんから。

次回の記事では灯火類とかリアフェンダーのお話をしたいと思います。

by HA577 | 2020-01-19 09:00 | バイク | Comments(0)

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